・・ このシートは「テキスト形式」:別様は「図一覧形式」と「スライド形式」 ・・
<受講者の戸惑いへの対応策:試論 >
移動 前シート〔「細胞下位」の話し合い:提言と回答〕へ戻る、「大拡大 表一覧」へ移動、
**下図をクリック拡大表示し、連続スライド形式で利用しよう**
上記の表題項目は、このシート「テキスト形式」に加え、「図一覧」・「連続スライド」の3形式により表示される。形式は用途の都合から選択するが、実践的には下図をクリック/拡大した「連続スライド形式」として用いる(Next/Backボタンでスライドを移動させる)。
<はじめに:提言>
このシートは2部構造である。下表(1、2)をもとに階層構造9区分について概説する。
<その1. 回答を通じて考えたこと>
<その2. 階層構造性の学習の場における位置付けと受け止め方>
前のシート「話し合い:提言と回答」に基づく新たな提言である。かなり無理もある提案であるが、参照の上、疑問に思うことなどをピックアップ、提供してほしい。
その2では、前シートの多数の方が寄せたとても丁寧な回答に対してどうすれば良いかと私なりに考えた今現在の結論である。なお、先生方の回答には、いちいち頷き、ご苦労が身にしみるが、それで、私なりのまとめ「学習の場で可能な視座視点:受講者のモヤモヤ解消のために」ということで提案したい。お役に立つにはどうすれば良いか、受講者の視点を俯瞰するにはどうすれば良いかと答えが出ない課題への今現在の対応です。
表1. 階層構造レベルの取り扱い(1) |
|
表2. 階層構造レベルの取り扱い(2) |
視点 |
<構造レベルのサイズ> |
|
<構造レベルのサイズ> |
学理
領域 |
Large |
Middle |
Small |
|
Large |
Middle |
Small |
肉眼 |
個体
〔B〕
Body |
器官系
〔OS〕
Organ System |
器官
〔O〕
Organ |
|
個体
〔B〕
Body |
器官系
〔OS〕
Organ System |
器官
〔O〕
Organ |
解剖
生理
学 |
光顕 |
組織
〔T〕
Tissue |
細胞
〔C〕
Cell |
小器官
〔OL〕
Organelle |
|
組織
〔T〕
Tissue |
細胞
〔C〕
Cell |
小器官系
〔OLS〕
OL System |
細胞
生物
学 |
電顕 |
巨大分子
〔MM〕
Macromolecule |
分子
〔M〕
Molecule |
元素
〔E〕
Element |
|
小器官
〔OL〕
Organelle |
巨大分子
〔MM〕
Macromolecule |
分子
〔M〕
Molecule |
分子
生物
学 |
<階層性9区分>
1.個体、2.器官系、3.器官、4.組織、5.細胞、6.小器官、7.巨大分子、8.分子、9.元素 |
<その1:回答を通じて考えたこと>
1. 左右の違いは学習者の状況に応じて使い分けるというのは如何でしょうか。
2. これまでの話し合いから、構造レベル細胞下位に対する戸惑いの大きな理由は、下記のような気がします。それでまたご意見をください。なお、間違いや飛躍が大きくてすいません。
<提言:構造レベル細胞下位に対する戸惑いの大きな理由>
1)小器官とは何のことか。 2)巨大分子は必要か。 3)みなさんのご意見から「蛋白質」という用語はどのように使い分けするか。 4)なお、分かりやすいこととは、「実体」としてイメージできて、同時にその「役割」がはっきりしていて、その「由来」が明瞭なこと。つまり、形・役割・仕組みと由来、になってしまいます。実体と概念の両立になってしまいます。「役割・意味意義」が不明瞭なのに、対応しなければいけないというのは子供の戸惑い違和感になりますよね。それで、その対策ですが、下記です。飛躍もあり恐縮デスが、ご批判をお願いします。
- 小器官とは細胞内の構造物全てであり、リボゾームでも酵素でもなんでも独立した「機能性の実体」なら全て小器官、というのは無理がありますか。あるような気がしますが、PDBjの「万見:よろずみ」で蛋白質の立体構造を見ればいいよな気がしています。子供でも小器官というイメージが湧くのではと思いたいです。その塊を見たらきっと「何する塊?」って質問すると思います。そこで、これは微小な器官だよ、となります。
- 巨大分子ですが、「アミノ酸」が集まると小器官になる」でもいいのですが、すこし無理があるので、それで介在性の中間体「巨大分子」というレベルが必要です。「小器官」という構造体はアミノ酸の塊ではあるが、特定の配列からなるひも状の巨大分子(ポリペプチドより長く長く連なったもの)になった後に、その性質から立体的になる構造体である。
- つまり、機能的な細胞とは、原料(分子)、部品(巨大分子)、組む合わせ品(小器官)、装置システム(小器官系)から構成され、それらがツリー構造的に組み合わさった機能体、というのはどうですか。概念や論理(考え方)が定まると話し合いが進むと思います。それで、そうすると「小器官系:装置」の一覧が必要になりますが、それを列記・表記すると「表4」になります。動物生理の基本(表3)を転用(自己相似的)すると結構平易に使えると思えませんか。
- 蛋白質という用語は総称なので、「体は主に蛋白質からできている」ですが、その区分は既にサイトに掲載した下記です。高校生ならその5区分くらいは理解しても良いような気がしますが、如何でしょうか。つまり、蛋白質という総称ではなく(使わず)、具体的な名称を与えるなら平易になりませんか。使えますよね。
<先頭行へ移動>
細胞外では、固相の構造タンパク質と液性の遊離タンパク質の2区分で、
1)固相タンパク質(コラーゲン線維、エラスチンの2種:構造性/繊維状蛋白質)、
液性タンパク質は、2)運搬タンパク質(アルブミンなど)、3)防御タンパク質(抗体など)、4)情報伝達タンパク質(ホルモンなど)、5)酵素タンパク質(外分泌)、
の5項目(区分)くらいです。なお、細胞外マトリックス(ECM)もありますが、これは基底膜成分とすると構造性になります。
つまり、日本語は言い方がたくさんあるので、実体名称と総称名称を学名のように併用する必要がありますよね。生物系学習が得意とすることですよね。実体名、役割名、総称の3名式でしょうか。白石さん、永田さん、菅野さん、伊藤さん、宮崎さん、岡本さん、如何でしょうか?アドバイスしてください。
- 高校ではどの程度までそれら用語が必要かが問題ですが、上記の生物学用語は一般的ではないでしょうか。ダメですか。区分表があれば構造化できそうな気がしますが。元素周期表なしで化学は語れないように基本が必要なら、階層構造レベルとそのレベルの区分とその実体名称くらいは可能とおもっています。それでBioMTXです。用語区分表(最低必須用語表)が必要です。その枠組み、視座視点を作る必要があると思っています。
- 以上が総論ですが、学習者の必要度に合わせて、理解度に沿って、話し合う演習が必要ということになります。演習とは役に立つ学びであり、大正解を求めるものではないので。
- では、細胞の内部はどう扱うかですが、その対策は、細胞は機能体なので、ことの始まりに、その機能を役割系統として区分・表記し、具体的な単元話題のときに、その表記を確認しながら単元話題を進めるという方法が必要ではないかとおもっています。
- その方法に必要なのが、表2です。小器官系(装置)という区分が必要です。具体的な系統区分は下記です。動物生理の対応なので誰でも簡単にわかるはずです。と思いたいですが、無理がありますか? 演習なら可能と思いませんか。
<羽曽部式:細胞生理の基本(2系6要素):表3、4を参照>
1.境界膜系、 2.膜受容体系、 3.シグナル伝達系、 4.蛋白質合成系、 5.細胞骨格・運動系、
6.膜輸送系、 7.内呼吸ATP合成系、 8.物質代謝系、 9.輸送・分解系、
10.細胞周期・細胞分裂系、 11.遺伝子発現調整系
(それぞれに何が含まれるか考えてみてみる。どんな矛盾が生じるか:演習問題)
- これを行っても入試問題の用語は増えないと思いたいですが如何でしょうか。用語の問題は枠組みに沿って最小必須用語を高校の先生が決めることではないですか。大学教員ではだめでしょう、ただし、メンター的には必要でしょう。
- 補足ですが、私が考えていることは「介在性構造レベル(表2)の器官系、組織、小器官系、巨大分子」の必要性です。考える生物学ですが、それはまたとします。また、核酸やDNAも今後デスがご意見ください。
表3 動物生理の基本:2系6要素・器官系11区分
<ネコの前にサカナを置いたらどうなるか?>
|
体性系/体壁性器官(動物性器官) |
1外 皮 系 |
<受容> |
<伝達> |
<実施> |
2 感覚系 |
3 神経系 |
4 筋肉系 |
5 骨格系 |
<内部調整> 11内分泌系 |
6 消化系 |
7 呼吸系 |
8 循環系 |
9 泌尿系 |
10 生殖系 |
<吸収> |
<運搬> |
<排出> |
|
臓性系/内臓性器官(植物性器官) |
表4 細胞生理の基本:動物生理の基本2系6要素に基づく役割の自己相似性。
<細胞自身は何している?:機能装置としての細胞の理解>
(系/系統という文字は「装置」と置き換えるとイメージが明瞭になるかも)
|
(受容) |
(伝達) |
(実施) |
1
境界膜系 |
感覚系 |
神経系 |
筋系 |
骨格系 |
2.膜受容体系 |
3.シグナル伝達系 |
4.蛋白質合成系 |
5.運動骨格系 |
(内部調整系) 11.内分泌 |
11 統合指令系(遺伝子発現調整系) |
6.膜輸送系 |
7.内呼吸系 |
8.物質代謝系 |
9.分泌分解系 |
10.細胞分裂系 |
消化系 |
呼吸系 |
循環系 |
泌尿系 |
生殖系 |
|
(吸収) |
(運搬) |
(排出) |
<先頭行へ移動>
<その2. 階層構造性の学習の場における位置付け・受け止め方>
はじめに:下記は科学専門というより学習者の便宜に向けた解説である。「こんな考え方もあるよ」という観点から学習者の戸惑いや疑問を受け入れる、その対応に向けた試論(枠組み)である。 |
1 |
「動物体もまた構造体」という視点は学習の場においても有効である。その段階的・連続的な構造レベルの表記が「階層性9区分」である。その前提は、実体には「構造」があり、構造は「要素の配置とその繋がりから考える」である。なお、要素同士の繋がりは「役割の起点」を与える。その要素のへの視点は「形・役割・仕組みと由来」、いわゆる「解剖組織学、生理生化学、発生遺伝学」の守備範囲に加え、「細胞生物学」は体の基本単位「細胞」レベルに基づき体構造を縦断して解き明かす。その論理性を平易に解説するを目標とする。動物体の成り立ちである。学習における「仕組み」とは「基本となる考え方」あるいは「原理」の理解であり、学習では「何が基本か」は重要である。 |
2 |
階層性は一義的に区分と順列であるが、その成り立ちは視覚的な「肉眼・光顕・電顕レベル」に基づくサイズ順列(大・中・小)であり、表1のような構造配置図(3x3=9配置:階層構造性)の設定が可能である。それらは受け入れやすい「実体と概念の連立連携」を目指すものであるが、疑問の抽出においても有効である。基本的ロジック「知っててお得な考え方」である。補足:「ツリー構造」による俯瞰も重要である。 |
3 |
「個体・細胞・元素」は構造レベルの基本3要素であり、それらに基づき、隣接上下レベルを連想すると無理なく「表1の穴埋め作業」が完了する。従って、階層構造性は「暗記もの」ではない。生物教育に必要不可欠な基本の理解「構造化」である。 |
4 |
生物学は経験科学の側面に強く拘束されるため、実体・実在としてイメージが容易な事項は学習の場においても共有化されやすい。構造レベルでは「個体、器官、細胞、細胞小器官、分子」が該当する。その特徴はそれ自体の摘出・抽出が可能、且つ「役割」を示す実体というイメージにある。その連続性はいわゆる「原料・部品・組合せ品・完成品」の様式であり、従ってツリー構造によるイメージ化は有効である。学習深度に無関係な最低必須学習要素である。しかし、「分子が集まるとオルガネラ(小器官)」では確かにギャップを感じることも事実である。 |
5 |
「器官系、組織、巨大分子」は、「個体と器官」、「器官と細胞」、「小器官と分子」をつなぐ中間の介在性構造レベルであり、どちらかといえばその実体の所在把握や形の分離摘出は難しく、更に、多様性に富むそれらの図説解説は一様ではない。従って、その意味意義(要素の繋がり)の理解には温度差が生じやすく、介在性構造レベルに関連する学習は、受講者の泣き所である。ただし、それらレベルの理解はその上位の実情を丁寧に説明することも事実であるが、時に詳細を極めるため、その取り扱いにはコツ(特定の視座視点)が必要である。 |
6 |
それら概念化重視の介在性レベルへの第1の視点は主に「役割」であるが、この観点が曖昧な場合には「物性」に基づき対応する。例えば、器官系には「器官系11区分」、組織には「四大組織」、巨大分子には「蛋白質、核酸、糖質、脂質、などの物性系統」が与えられている。 |
7 |
そこで本編では、個体と器官をつなぐ「器官系11区分」には役割に基づく「動物生理の基本:2系6要素による繋がりと配置」を与えた(表3)。「組織の基本4区分:4大組織」の場合は、その第1の視点「細胞シート(上皮組織)に基づく体構造の見方・考え方:オモテ•ウラの関係」に加え、魚類組織のバーチャル顕微鏡観察や細胞培養実験学習(細胞の基本的な性質の確認)を示した、は他所に解説の通りである。その結果は、誰もが共有可能な普通の話(考え方)になってしまう(ことも事実である)。 |
8 |
では、巨大分子のことであるが、そもそも「細胞の成り立ちの理解」に階層性(区分)は必要なのかという疑問もあり、実はなくても別に困らないことも実情のようである。しかし、受講者は細胞の成り立ちの理解に時々戸惑っていることも事実であり、それは当事者の理解度に起因するのか、それとも、学習構成には本質的な矛盾や不足があるのか、ということも不明である。 |
9 |
その観点から表1(階層構造性)を再確認すると、実体レベルは介在性の構造レベルで補完され理解されるという特徴がある。つまり、この経緯から考えれば、細胞下位には細胞と細胞小器官の間に介在レベルがあると都合が良いという推論が成り立つ。それで試しに「小器官系」という枠組みを導入したものが表2である。その結果はとても都合が良い。しかし、小器官とは何?という大前提が表出されてしまう。 |
10 |
経緯としては、細胞内に観察可能で、まとまりのある構造が小器官であり、便宜的に種類や役割でその概要表記がなされている。しかし、そもそも研究者は「小器官」という曖昧さを前提としながらも、細胞には多数の機能系統があり、それらは複数の個別の構造体(酵素など)の連携により役割をはたすと理解している。 |
11 |
つまり、自律的な機能体「細胞」とは「小器官:オルガネラ」の集合体であるが、実際には複数の小器官が合目的的に連携し機能を発揮する「各種の系統を内在する構造体」である。それで細胞と小器官との中間には必然的に「役割の系統」があるという認識はとても分りやすい。教科書学習の主要な学習課題は、それら系統に関わる役割と仕組みの理解に重きが置かれている(ような気がしている)。 |
12 |
例えば試しに、その役割の系統を列記すると下記11項目(区分)の設定が可能であると思っている。
<細胞内構造体の系統区分と順列:羽曽部の試論・・・表4を参照>
1.境界膜系、2.膜受容体系、3.シグナル伝達系、4.蛋白質合成系、5.細胞骨格・運動系、
6.膜輸送系、7.ATP合成系、8.物質代謝系、9.輸送・分解系、10.細胞周期・細胞分裂系、
11.遺伝子発現調整系
:教科書で扱わないはどれですか、見当たらないのは何ですか、不適切用語は変更しましょう
|
13 |
これらは科学専門の観点というより学習上の便宜としたい。つまり、「器官系」の考え方「動物生理の基本(役割):2系6要素」に基づく考察の自己相似性による順列配置である(表3,4を参照)。それで「細胞生理の基本」の考え方が成り立つ。その効果は「簡単共有に向けたイメージ化・発想法・構造配置図」である。 |
14 |
従って、それらの機能系統を担う実体が「小器官」である。例えば、小器官とは細胞内の単離独立した構造物全てであるとすると、リボソーム、酵素、膜など、機能性の実体はとりあえず小器官である。その根拠は、例えば、PDBj「万見:よろずみ、下記URL」で立体構造(3次元画像)を観察すれば小器官というイメージが湧くはず。学習者の「何する塊?」に対して「これは微小な器官(装置)だよ」という話し合いは共有・展開の起点になる。この観点も学習者の便宜、繰り返しとなるが、前向きな学習者には「こんな考え方もあるよ」という事例である。 PDBjの教育資料集URL https://numon.pdbj.org |
15 |
但し、「小器官とは細胞内にある独立した構造体の全て」という言説を無理に取り上げる必要はない。つまり、小器官とは歴史的な経緯であり、細胞内に認められる区画・領域いわゆる「地図」の役割も果たす。異なる役割を担う閉鎖性膜区画から構成され、介在する原形質を介して多様な細胞機能を発揮する。そのため、細胞内構造の認知・共有には不可欠であり、現状変更は不必要である。但し、前向きに戸惑う受講者に寄り添う方策とし上述の視座視点(小器官系統)は十分に実効的である。それらは科学専門いわゆる細胞生物学そのもの一部概要を示すものである。知識レベルに関係なく「細胞の成り立ちを俯瞰する視座視点に立つ」ことは、学習者に前向きの余裕と勇気を与える、と考えている。誰もが頷ける枠組みである。 |
16 |
では「巨大分子」の意味疑義・必要性であるが、以上の説明から、ひとまず「分子と小器官との介在・仲介・補完」で十分ではないだろうか。その理由は細胞下位の用語・様態、つまり、その位置付けに「構造」の観点から「繋がり・役割」のイメージ化が進んでいるからである。振れ幅少なく考察の道筋が見えはじめ「巨大分子へのモヤモヤ」は解消しているはず、と思いたい。つまり、生物学用語の総量規制やコア用語の選定と同時に、必要なことはこのモヤモヤの解消であろうと思っている。つまり、TELLing ではなく SHOWing が必要であると考える。 |
17 |
例えば、モヤモヤ・勘違いへの対策は、唯一「俯瞰構造図としての把握」にあると思っている。個別学習「役割と仕組み」の前に全体像をイメージしてみようという方法である。その命題は「細胞自身は何している?」であり、その原理が各種の系統装置(例えば、11区分小器官系:表4)とすれば、その実証(学習・演習)には構造俯瞰図の作図があげられる。 |
18 |
つまり、細胞は膜系構造体なので、1)その区画区分を閉鎖性「膜」領域として描き、2)その適所に主な要素「機能体:小器官」を描き加え、3)同時に、その機能系統としてイメージ化できる表題や用語を与える、4)その上で系統内の繋がりを示す、という方法である。「構造」としての扱いであり、例えば、稚拙な「細胞くんの描き方」のバージョンアップが必要である。構造図なので要素の描くは「丸・三角・ペケ」でも良い。 |
19 |
系統11区分の全てを書き加える必要があるかは別として、構造の観点を導入するため、その作図作業は漸進的に出来上がるはずである。しかし、受講者の興味は「もっと・もっと」になるであろう。その結果、モヤモヤ「蛋白質の小器官」は通常の教科書的な役割などの固有名に変化してくるはずである。つまり、「描き見て考える」の繰り返しであるが、描くそのプロセスのその起点を与えるが「教師の仕事」の一部であろうと思っている。役割系統の道筋があれば少しの時間で完成する、と思っている。 |
20 |
その結果、蛋白質の系統、核酸の系統、脂質の系統などの中間体(巨大分子)は「どのような仕組みで合成され、何に使われるか」が顕在化し、現行の教科書学習の主旨が滞りなく進むと考えている。つまり、「形・役割・仕組みと由来」の学習が成り立つ。学習マトリックスに基づく段階的な取り組みの筋道が明らかになるような気がする。幸いにも、単純蛋白質・複合蛋白質など学習展開の道筋は無限にあるが、その自制には時間制限が有効に働く。そこで、そのために系統に基づく「コア用語の選定」が必要となるはずである。 |
要約1 |
本編は学習者の「細胞下位における戸惑いをどのように受け止めるか」に向けた試論である。つまり、階層構造性の成り立ちを俯瞰し、受講者が抱く素朴な疑問に寄り添い、丁寧な話し合いが継続するための枠組みになればと思っている。試験や入試には出ないけど「こんな考え方もあるよ」という提案は、学習者の学びに新たな側面を与える。その経緯は誰でも分かる至極簡単な考え方「なるほどね」である。 |
要約2 |
「器官系の見方・考え方:動物生理の基本」を演習とした教師は、細胞内系統装置(細胞小器官系)の話し合いにそれほど違和感を感じない。「細胞自身は何している?」という問いかけは学習者の好奇心を刺激する。全体を俯瞰する視座視点があれば帰納的な学びの筋道が見えてくる。教科書単元を参照しながら、蛋白質合成の意味意義・仕組みを俯瞰し、描き見て考え、疑問を抽出することも可能である。生物学演習は必要である。 |
要約3 |
それらは「なに・なぜ・どうして・どのようにして:それ本当?」の繰り返しの学びとなるが、とにもかくにも古典的なロジックは役に立つ。論より証拠、試してみようであり、「知らないことは分からない、分かってしまえば当たり前、何かが気になる当たり前、一緒に話せば確かに役立つ当たり前」である。 |
要約4 |
ここまで読み終えた人は「これは面倒な話になった」と思っているはず。私も確かにそう思う。だが、以上のことは数年以上にわたり必要とする学習の「基本」であり、ことほど左様に急ぐ話ではない。「細胞にはどのような役割系統があるか、どのような仕組みで機能を示すか」という視座視点は大学でも扱う細胞生物学である。 |
要約5 |
それで、一言・二言・合わせて三言になってしまうが、本解説が本当に有効になるのは、多分、実体教材に基づく「話し合い:命題に基づく演習の場」である。例えば、「培養細胞はどのようにして生きている」という命題に基づき実施される実験学習が必要であろう。それらは言うに及ばず「細胞培養実験とマクロ組織の観察」である。用語が先か実体実情が先かは実験観察・演習講義を行えば自明の理であり、座学一辺倒・担当講義では確かに心配も付きまとう。その補助・補完が本編の狙いであり、実演生物学のギャラリーがその道筋を示していると考える。 |
* |
<補 足>
- 昨年のノーベル賞は分子・小器官レベルの解析法「極低温電子顕微鏡法:クライオEM」でした。近年のノーベル賞は細胞内構造の解析などが多い(小胞体輸送、液胞、など)
- 要素の視点「形」は更に「部位・形状・名称・繋がり・区分(構成)」で補完される。
|
表4 細胞生理の基本:動物生理の基本2系6要素に基づく役割の自己相似性。
<細胞自身は何している?:機能装置としての細胞の理解>
(系/系統という文字は「装置」と置き換えるとイメージが明瞭になるかも)
<その1>
|
(受容) |
(伝達) |
(実施) |
1
境界膜系 |
感覚系 |
神経系 |
筋系 |
骨格系 |
2.膜受容体系 |
3.シグナル伝達系 |
4.蛋白質合成系 |
5.運動骨格系 |
(内部調整系) 11.内分泌 |
11 統合指令系(遺伝子発現調整系) |
6.膜輸送系 |
7.内呼吸系 |
8.物質代謝系 |
9.分泌分解系 |
10.細胞分裂系 |
消化系 |
呼吸系 |
循環系 |
泌尿系 |
生殖系 |
|
(吸収) |
(運搬) |
(排出) |
<その2>
|
(受容) |
(伝達) |
(実施) |
1
境界膜系 |
感覚系 |
神経系 |
筋系 |
骨格系 |
2.膜受容体系 |
3.シグナル伝達系 |
4.生理機能発現系 |
5.運動骨格系 |
(内部調整系) 11.内分泌 |
11 統合指令系(遺伝子発現調整系) |
6.膜輸送系 |
7.内呼吸系 |
8.物質代謝系 |
9.輸送分泌分解系 |
10.細胞分裂系 |
消化系 |
呼吸系 |
循環系 |
泌尿系 |
生殖系 |
|
(吸収) |
(運搬) |
(排出) |
<表5. 細胞生理の基本(2系6要素):表3、4を参照>
下表はまだ未完。コア用語を念頭に作りたいと思っています。関連小器官や役割意義について必要不可欠な事項を提案してください。
概念 |
# |
細胞機能の系統 |
要素:関連小器官(事例) |
役割・意義 |
境界 |
1 |
境界膜系 |
細胞膜、小胞体膜、 |
細胞は脂質2重層で姿・形を現している。 |
受容 |
2 |
膜受容体系 |
レセプター、インテグリン、 |
外部情報を受け止めている。基底膜に接着している。 |
伝達 |
3 |
シグナル伝達系 |
リン酸化酵素、G蛋白質、cAMP |
膜で受容した指令・情報を内部に伝えている。 |
実施 |
4 |
蛋白合成系 |
DNA、RNA、 Pol.、リボゾームなど |
DNA情報をRNAを介し役割を担う蛋白質(役割を担う蛋白質)を作る。 |
5 |
運動骨格系 |
アクチン線維、微小管など |
動く、動かす、支える、染色体分配などをしている。 |
吸収 |
6 |
膜輸送系 |
ポンプやチャンネル |
膜貫通蛋白質により外から内へ物質を取り込んでいる。能動・共動・濃度差 |
7 |
内呼吸系 |
ミトコンドリア、FoF1-ATPase、など |
TCAサイクルに基づき電子伝達系に従いATPを合成している。 |
運搬 |
8 |
物質代謝系 |
各種の代謝酵素 |
糖、窒素、核酸、脂質などの物質代謝:解糖系、TCA系、窒素代謝系、など |
排出 |
9 |
分泌分解系 |
小胞体輸送、リソソーム |
合成された蛋白質を輸送し細胞外へ分泌している。 |
10 |
細胞分裂系 |
染色体、紡錘系、など |
細胞周期に従い必要に応じて細胞分裂期の調節と細胞分裂を行っている |
調整 |
11 |
遺伝子発現調節系 |
各種の転写調節因子 |
細胞の個性(表現型)に向けた遺伝子発現の調節をしている |
あるいは
概念 |
# |
細胞機能の系統 |
要素:関連小器官(事例) |
役割・意義 |
境界 |
1 |
境界膜系 |
細胞膜、小胞体膜、 |
細胞は脂質2重層で姿・形を現している。 |
受容 |
2 |
膜受容体系 |
レセプター、インテグリン、 |
外部情報を受け止めている。基底膜に接着している。 |
伝達 |
3 |
シグナル伝達系 |
リン酸化酵素、G蛋白質、cAMP |
膜で受容した指令・情報を内部に伝えている。 |
実施 |
4 |
生理機能発現系 |
DNA、RNA、 Pol.、リボゾームなど |
DNA情報をRNAを介し役割を担う蛋白質(役割を担う蛋白質)を作る。 |
5 |
蛋白合成系 |
アクチン線維、微小管など |
動く、動かす、支える、染色体分配などをしている。 |
吸収 |
6 |
膜輸送系 |
ポンプやチャンネル |
膜貫通蛋白質により外から内へ物質を取り込んでいる。能動・共動・濃度差 |
7 |
内呼吸系 |
ミトコンドリア、FoF1-ATPase、など |
TCAサイクルに基づき電子伝達系に従いATPを合成している。 |
運搬 |
8 |
物質代謝系 |
各種の代謝酵素 |
糖、窒素、核酸、脂質などの物質代謝:解糖系、TCA系、窒素代謝系、など |
排出 |
9 |
輸送分泌分解系 |
小胞体輸送、リソソーム |
合成された蛋白質を輸送し細胞外へ分泌している。 |
10 |
細胞分裂系 |
染色体、紡錘系、など |
細胞周期に従い必要に応じて細胞分裂期の調節と細胞分裂を行っている |
調整 |
11 |
遺伝子発現調節系 |
各種の転写調節因子 |
細胞の個性(表現型)に向けた遺伝子発現の調節をしている |
<先頭行へ移動>
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.0 中 Fig.00 右 Fig.000)
<先頭行へ移動>
<1-3>
*
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.1 中 Fig.2 右 Fig.3)
<先頭行へ移動>
<4-7>
*
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.4 中 Fig.5 右 Fig.6 )
<先頭行へ移動>
<7-9>
*
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.7 中 Fig.8 右 Fig.9 )
<先頭行へ移動>
<10-12>
*
(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.10 中 Fig.11 右 Fig.12)
<先頭行へ移動>
<13-15>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.13 中 Fig.14 右 Fig.15 )
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<16-18>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.16 中 Fig.17 右 Fig.18 )
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<19-21>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.19 中 Fig.20 右 Fig.21)
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<22-24>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.22 中 Fig.23 右 Fig.24 )
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<25-27>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.25 中 Fig.26 右 Fig.27)
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<28-30>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.28 中 Fig.29 右 Fig.30 )
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<31-33>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.31 中 Fig.32 右 Fig.33 )
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<34-36>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.34 中 Fig.35 右 Fig.36 )
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<37-39>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.37 中 Fig.38 右 Fig.39 )
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<40-42>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.40 中 Fig.41 右 Fig.42 )
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<43-45>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.43 中 Fig.44 右 Fig.45 )
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<46-48>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.46 中 Fig.47 右 Fig.48)
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<49-51>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.49 中 Fig.50 右 Fig.51)
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<52-54>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.52 中 Fig.53 右 Fig.54)
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<55-57>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.55 中 Fig.56 右 Fig.57)
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<58-60>
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(画像クリックで拡大表示: 左 Fig.58 中 Fig.59 右 Fig.60)
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<***>
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